タイ・バンコクの高架鉄道「BTS」を観光に利用しよう

BTS車両
BTSはこれまでは使いづらかったが、延伸で利便性が向上した

バンコクは経済的に発展した反面、退化している部分もあり、特に都心部の交通渋滞悪化は世界的に見てもトップクラスに匹敵する。これはバンコクの公共交通機関が脆弱であることの証拠だ。
となれば、観光客はなおのこと交通機関に頭を悩ませることだろう。土地勘もないし、言葉もできない。
そんな人々に特に便利なのがバンコク都内を走る高架鉄道システム「スカイトレイン」だ。バンコク都民はみな社名の略称「BTS」(Bangkok Mass Transit System社)と呼ぶ。1999年の開業当初は中心エリアにしか敷設されていなかったが、現在に至るまで徐々に延伸を続け、いよいよ観光客にとってバンコク近郊の観光にも利用しやすくなった。
 ここではゴルフ目的で訪れた人もぜひ知っておいてもらいたいBTSの延伸した駅最寄りのスポットをいくつか紹介していきたい。

シーロム線はチャオプラヤ河対岸に続いていく

国鉄ウォンウェイヤイ駅
国鉄ウォンウェイヤイ駅。夜間は治安が悪いので注意

まずはシーロム線沿線を見ていこう。シーロム線は、観光客に人気の雑居型商業施設「MBK」の前にあるナショナルスタジアム駅から、ビジネス街、あるいは外国人向けの歓楽街として有名なシーロム通りを経由し、チャオプラヤ河の目の前にあるサパン・タークシン駅が当初の範囲だった。開業10年ほどで対岸に伸び始め、2013年に現在の西端にあるバンワー駅が開業している。
シーロム線の見所のひとつはウォンウィエンヤイ駅から徒歩数分の国鉄ウォンウィエンヤイ駅だ。単線の始発駅で本数も少なく使いにくいが、時間を合わせて利用すれば、乗り換えが必要ではあるものの、線路沿いギリギリにまで商品を並べる「メークローン市場」に行ける。

ボートトリップ
ボートトリップも用意されていて、乗り合いなら小額で2時間くらいのコース

終点バンワー駅からはタクシーを乗り継ぐことで、バンコクっ子たちに大人気のローカル向け水上市場「クローン・ラットマヨム水上市場」に行ける。飲食店が多いので、買い食いが大好きなタイ人たちに人気がある。外国人向けのマーケットと違い、料金もほぼタイ人料金なので安心だ。ただし、週末限定なので注意。
近年はチャオプラヤ河西岸の開発が進んでいるので、見所は今後も増えていくことだろう。今のところバンコク都の電車網開発計画ではBTSシーロム線においてバンワー駅が終点になる。今後は地下鉄関係の路線に接続する予定なので、これからがおもしろい場所になりそうだ。

スクムビット線の南方面利用でサムットプラカン県を満喫

パクナム駅近くの川面
パクナム駅近くの川面から夕日を眺めた

もうひとつのBTS路線はスクムビット線になる。北はタイ最大の週末市で有名な「チャトチャック・ウィークエンドマーケット」を目前にするモーチット駅から、シーロム線と接続するサイアム駅を通り、東方面のオンヌット駅に繋がる長い路線だ。
スクムビット線はその名の通り、特にスクムビット通りに沿って延伸工事が続き、オンヌット駅より先は2011年から続々と開通し、現在の最終駅ケーハ駅までは2018年12月とつい最近利用できるようになった。オンヌット駅からウドムスック駅辺りまでは住宅街が続き、バンナー駅は「バイテック」というコンベンションセンターに連絡する。海外からの出張ビジネスマンにも利用しやすい.

インペリアル
インペリアルはバンコクとは客層が違うので雰囲気も異なる

エラワン美術館
エラワン美術館を象徴する、3つの頭の巨象

サムロン駅のふたつ先にあるチャーン・エラワン駅は、エラワン象の駅という意味になる。これはそのままの駅名と言っても過言ではなく、目玉スポットはまさに3つの頭を持った巨大な象の像が目印の美術館になる。
さらに先へ進むと、河口を意味するパクナム駅に着く。ここはバンコクに隣接するサムットプラカン県の県庁所在地にあたる。チャオプラヤ河河口近辺とはいうものの、実際には河口はもっと南にある。いずれにしても、バンコクの都心から最も近い他県になるので、時間がないときはこの辺りを散策すれば、タイの地方都市の空気を感じることができるだろう。

サムットプラカンの市街地
サムットプラカンの市街地。奥にBTS沿線に新築された展望台が見える

河口は夕日がきれいだし、早めの時間に市場近辺にある渡し船を利用して対岸に渡るといい。そこから車で南下すればタイ海軍直営の公園「プラジュンジョムクラオ要塞」に着く。ここには戦時中、タイ政府が日本から購入した日本製戦艦メークロン号が静態保存されていて、中に入って見ることができる。日本では味わえない貴重な観光ができることだろう。

メークロン号
プラジュンジョムクラオ要塞の1937年に横須賀で建造されたメークロン号

終点のケーハ駅は完全に郊外で、地平線が見えそうなほど、スクムビット通りの左右に空き地が広がる。
ケーハ駅から少し南下すると、「ムアン・ボーラーン」という、タイの名所をミニチュア化した施設がある。タイ全土を一気に体験できるので、時間がない人にはおすすめだ。ただし、敷地は広大なので徒歩で周るのは困難。カートを借りることも可能だが、国際運転免許証の提示を求められる場合もあるので、あらかじめ用意しておこう。

クロコダイルファーム
ショーで口を開けているワニ。ワニにも餌づけができる

ケーハ駅と、その手前のサーイルアット駅の中間には「サムットプラカン・クロコダイルファーム&ズー」がある。徒歩では行けないので、駅を降りたらタクシーを拾うべきだ。
ここは要するにワニ園のことで、昭和を感じる古くさい動物園内でワニの口に手を入れるショーや、象のサッカーショーなどが観られる。特に勧めたいのは餌づけだ。近距離でカバに果物を与えることができるし、鶏肉をトラの檻に投げ込んで俊敏な動きを観察できる。時間帯によるが、檻から出したトラと記念撮影をすることもできるので、旅の記念にいいだろう。もちろん、トラに襲われても誰も責任は取ってくれないけれども。

2020年にスクムビット線は北方面にも順次開通する

BTSプラットホーム
延伸のデメリットは利用客が増えて、混雑すること

北端だったモーチット駅から、2019年8月に1駅だけ延伸した。来年中にはさらに15駅が開通する見込みだ。現在すでに線路や駅舎は完成しており、試運転ののちに開業する。
8月に開通したのはハーイェーク・ラートプラオ駅で、「セントラル・ラートプラオ」というデパートの目の前にある駅だ。モーチット駅同様、地下鉄駅とも接続しているので、使いやすいと言えば使いやすい駅である

立川98式
立川98式というこの飛行機は、一説では世界に2機しか現存していないとか

特に今後開通する中で注目したいのはエアフォース・ミュージアム駅だ。名前の通り「空軍博物館」の目の前に到着する。
タイ空軍博物館はタイの航空史がわかるだけでなく、展示物の大半がゼロ距離まで近づけることが魅力だ。つまり、展示物に触り放題なのだ。特に子どもには喜ばれる施設で、ヘリコプターや飛行機など、乗ったりボタンを押したりすることができる。
さらに、展示物の中には日本軍が供与した日本製の航空機「立川98式」が展示されていることも見逃せない。動かないとはいえ形として現存するのは世界で2機ほどしかないらしく、ここでしか見られないものと言ってもいいような展示物である。

子供用フライトスーツ
子ども用のフライトスーツも縫製はしっかりしていた

空軍博物館のおすすめは小さな売店だ。ここには日本軍が誇った名戦闘機・零戦のプラモデル用ステッカー(デカール)などが売られている。それもタイ軍使用のため、日本ではまず手に入らないもので、マニアにはたまらないというグッズだ。軍服なども売っているので、タイ空軍の制服などを手に入れたければここに来るといい。

ドムアン 空港
ドンムアンへは国鉄の高架電車が開通するのを待つしかない

スクムビット線の北方面延伸部分はドンムアン空港に向かっている。ただ、残念なのは、旅客ターミナルではなく空軍施設側なので、ターミナルから見ると滑走路を挟んで反対を走ることになる。そのため、旅客がドンムアン空港に行くにはBTSはやや使いづらい。
いずれにしても、BTSだけでなく地下鉄やほかの独立した路線の工事が進んでいるので、5年後10年後はさらに使いやすくなっていることだろう。いよいよバンコクも便利な街になり始めている

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