バンコクでノスタルジックと新発見を同時に味わえる「サムットプラカン・クロコダイル・ファーム&ズー」

タイで日本の昭和を感じることができるワニ園

クロコダイルファーム ショー
一見地味なショーだがハラハラする

旅の本質は大別すると2種類に分けられる。ひとつは発見や出会いだ。もうひとつは思い出やノスタルジックを見出すこと。そんな観点からおすすめしたい観光スポットがある。「サムットプラカン・クロコダイル・ファーム&ズー」(以下ワニ園)だ。

このワニ園は2019年、バンコクの高架電車路線のひとつ、BTSスクムビット線の延線部開通によって飛躍的に行きやすくなった。それまではタクシーかバスでしか行けなかったが、渋滞を飛び越えていけるようになった。最寄り駅はBTSケーハ駅で、現時点ではBTSスクムビット線の東方面の最終駅になる。ただ、徒歩圏内ではないので、この駅からタクシーかバイクタクシーでおよそ10分ほど行かなくてはならないが。それでもかなり行きやすいところになった。
このワニ園は“自称”だが、世界最大のワニ園で、およそ8万匹におよぶワニが飼育されているという(諸説あり10万匹という話もある)。そんなワニに餌をあげられ、ショーも観られる。それがこのワニ園の見どころだ。

クロコダイルファーム カバ餌やり
これだけカバを至近距離で見られる動物園がほかにあるだろうか

おすすめの理由は、冒頭の2種類の旅の本質を味わえることだ。普通はどちらか一方であるものだが、ここはふたつを同時に堪能できてしまう。
たとえば、ワニの餌づけは日本ではそう簡単にできるものではない。しかも、餌づけはワニに限らず、ここにいる動物の大半に可能だという点だ。こんなにおもしろいことはほかにない。これは新しい事柄との出会いである。
 
それから、ノスタルジックな雰囲気もある。園内全域に漂う、そこはかとない哀愁。「これ、全編、昭和臭」といったレベルの、なんだか垢抜けない空気感が溜まらない。安全性への配慮もかなり欠いていて、昭和ならあるいは営業許可が出たかもしれないが、令和の今は確実に廃園となるくらいの適当さもまたタイらしさ。
サムットプラカンのワニ園は、バンコクから最も近く、最も低予算で楽しめる観光スポットである。

いきなりメイン、そのあとにオードブルを楽しむ

クロコダイルファーム ショーワニ
年に何回か失敗して噛まれる飼育員がいる

残念ながらワニ園は外国人料金が設定されている。券売所と門にそれぞれガードマンもいるので、タイ人料金でごまかすことが難しい。タイ人料金は60バーツ(大人、約210円)で、外国人料金は300バーツ(約1050円)(いずれも取材時の料金)。この差額を取り戻すにはただただ楽しむしかない。
 
まず門を潜ったら向かうべきはワニのレスリングショーだ。このワニ園最大の見どころが一番先頭にある。つまり、ここを見たあと園内はすべて余韻、あるいは惰性で見て回るしかない。その配置にもまたタイらしさがある。
門からショー会場までは土産ものの商店などが続く。ワニ革のバッグなどが売られていたり、ワニ園、所在のサムットプラカン県、さらにはタイとも関係のないグッズが売られている。多くが子ども向けプラスチック玩具で、昔の日本も観光地に行くとこういった全然関係ないものの店はよくあった。こういったところに懐かしさを感じずにいられない。
 
さらに驚くべきは、この土産もののゾーンに、トラやチンパンジーなどと並んで写真撮影ができるスポットもあることだ。ワニのレスリングショーに並んでこの園のクライマックス的イベントがここにある。まるで映画をエンディングから観させられている気分にすらなってくるだろう。

クロコダイルファーム トラ水泳
トラもいて、一緒に写真が撮れるブースもある

レスリングショー会場はワニがいる池をぐるりと取り囲み、まるでコロシアムのような座席配置だ。中央に小島があり、ふたりのタイ人飼育員が都度ワニを選んでショーを始める。
ショー内容は至ってシンプルだが、スリルはある。ワニの口を開き、そこに手や頭を入れるのだ。ワニは正面が見えないので、そのあたりの性質をよく理解してやっているとはいえ、そのハラハラ感は何度観ても手に汗を握ることになる。時折、飼育員がわざと持っている棒をワニの歯に当てる。すると、パクッと小気味いい音をさせてワニの口が勢いよく閉じられ、会場はどよめく。

クロコダイルファーム ショー観客席
中国人の定番観光スポットになっていた

クライマックスを前に持ってくるだけあって、すべての種明かしもここで見ることができる。なぜ、見どころを前に置くのか。それは中国人観光客が多いからだ。彼らは団体でやってきて、そこだけ観たら帰ってしまう。奥の動物園には行かないのだ。中国人たちは賽銭のように小銭を飼育員たちに投げ込むので、働く側としても中国人に目が行く。今やショーはほぼ中国語で行われているようなものだ。(※ただし、2020年3月現在は新型コロナウィルスの影響で中国人観光客は激減)
そのあたりはややしらけムードになってしまうものの、とにかく迫力は保証したい。

各種動物に餌づけをしていこう

クロコダイルファーム ワニ
石のように動かないワニだが、エサを見ると素早く動く

ワニのショーが終わったら奥の動物園ゾーンも観ていこう。レスリング会場前から有料だが豆汽車がある。あるいは徒歩でも周れる。
このワニ園のショー以外の見どころは餌づけになる。ワニの餌づけは魚や鳥ガラを投げ込んで与えるもので、石像かと思うほど動かないワニたちが思いのほか素早く動く姿に驚嘆する。なにより、何百匹といるワニの池の上にかかる橋から投げ込むのだが、その橋脚が頼りなく、崩壊するのではないかという恐怖感がまた非日常を体感できる。

クロコダイルファーム 餌づけ
カメの餌づけだが、そのカメも結構大きい

ほかにはカメや巨大なメコンナマズなどに餌づけできるたり、カバやトラ、クマにも餌を与えられる。カバはあり得ないくらい至近距離から果物を与えられる。下手をすれば手を持っていかれるのではないかという距離感だ。クマも同じ果物を与えられるが、さすがにカバほど近くはない。

クロコダイルファーム トラ
水に飛び込まないトラもいる。泳げないのだろうか

トラは深めの池と檻に囲まれ、どんなことをしても襲われることはないので安心だ。むしろ、日陰で休んでいたトラが我々の手にする鶏ガラを観た途端、池に飛び込んでもらいに来る様子はかわいささえ感じるだろう。野生の俊敏さは健在で、鶏ガラを投げ込むと勢いよく飛びつく。
「サムットプラカン・クロコダイル・ファーム&ズー」は日中に行くしかないので、気温がかなり高いのは難儀だ。飲みものなどの売店はあるものの、食事は期待できない。午前中の暇つぶしで行くといい。シンプルな動物園だが、意外と大人でも楽しめるので、家族連れだけでなくても、時間を持て余したら行ってみることをおすすめしたい。

【データ】
名称: サムットプラカン・クロコダイル・ファーム&ズー
TEL: 02-703-4891
時間: 7:00~18:00
定休:なし
URL: https://www.facebook.com/pages/Samutprakarn-Crocodile-Farm-Zoo-Thailand/343673425701509
地図:Googleマップで確認

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